名古屋の動物病院 生殖器科

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生殖器科について

当院では、一般的な避妊手術や去勢手術(公益社団法人名古屋市獣医師会が定めた医療費体制に基づき)を行っております。また避妊手術に関しましては、近年問題視されています「縫合糸反応性肉芽腫」を回避するために、【からだの中に糸を残さない手術】方法を採用しております(リガシュアシステム以下参照)。また名古屋市では当院でしか行なわれていない腹腔鏡を用いた避妊手術を行っており、こちらは【傷の小さい手術(低侵襲性手術)】方法になります(日帰りが可能)。リガシュアシステムも腹腔鏡手術もそれぞれオプションになっておりますので、詳しくは当院までお問い合わせ下さい(腹腔鏡手術もリガシュアシステム同様に糸は残しません)。

また生殖器科では、避妊手術や去勢手術以外にも、乳腺や卵巣子宮の病気、精巣の病気などを担当しております。避妊手術をしていなかったことで起こる乳腺腫瘍や子宮蓄膿症、去勢手術をしていなかったことで起こる前立腺肥大や会陰ヘルニアなども同様にです。

生殖器科が担当する主な病気について

  • ①避妊手術/去勢手術
  • ②子宮蓄膿症
  • ③乳腺腫瘍
  • ④会陰ヘルニア

*以下に代表的な生殖器疾患を挙げております。ご参照下さい


①避妊手術/去勢手術

詳細は当院の避妊去勢手術ページをご参照下さい。 リンクはこちら>>

②子宮蓄膿症(原因/検査・診断/治療)

子宮内の細菌感染による炎症により膿汁が貯留する疾患で、性ホルモンの分泌が深く関与していることが知られています。犬では6歳以上で発情後約1~2カ月での発生が多く、出産を経験していない犬に多く認められます。この疾患は外陰部から排膿がみられる開放性と排膿がみられない閉鎖性がありますが、一般に閉鎖性の方が発見が遅れ、中毒症状が重い傾向にあります。症状として食欲不振、元気消失、多飲多尿、嘔吐、外陰部の腫大、開放性であれば外陰部からの排膿などが挙げられます。

治療は、早期に外科的に卵巣と子宮を摘出することです。抗生物質の全身投与も行っていきますが、治療が遅れると子宮の膿が全身に回ってしまい、敗血症となり、腎機能の低下やショック状態に陥り、死亡することも珍しくありません。この病気も、避妊手術を早期に実施しておくことで、予防することができます。
 猫では犬と異なる点があり、若齢でも発症すること、開放性が多い、嘔吐や多飲多尿が明らかでない等が挙げられます。治療は犬と同様に卵巣子宮摘出術を実施することです。



③乳腺腫瘍(原因/検査・診断/治療)

乳腺腫瘍は、雌犬に発生する全腫瘍の約半数を占めており、雌犬で最も多く発生する腫瘍です。悪性腫瘍である可能性はその約50%で、悪性腫瘍の半数が浸潤性や転移性が強いと言われています。性ホルモンの関与が考えられており、前述しましたが、早期の避妊手術により発生が抑えられ、その発生のリスクは未避妊の犬を100%とすると、初回発情前の不妊手術で0.05%、1回目以降で8%、2回目以降で26%とされています。未避妊の犬は避妊手術を受けた犬の7倍この腫瘍になりやすいと報告されています。

一方、雌猫では、全ての腫瘍の中で3番目に多い腫瘍で、乳腺腫瘍の約80%が悪性腫瘍だと言われています。1歳までに避妊手術を行うことで、その発症リスクが86%減少したという報告があります。猫の乳腺腫瘍で犬と異なる点は、悪性腫瘍が多発する傾向があり、その割合は約80%以上と言われています。さらに約半数は複数の乳腺に同時に発症し、これらは悪性度が高く、治療しないと急速に転移などが起こります。



治療は、早期の外科手術による積極的な切除が推奨されています。犬猫とも乳腺腫瘍の大きさが3㎝を超えると術後の再発率も増加していき、猫では生存期間も短くなりますので、とにかく早期の外科手術が必要です。また、手術は、腫瘍ができている範囲にもよりますが、乳腺の部分摘出や片側乳腺摘出術、両側乳腺摘出術などを行います。また手術時に当院ではCT検査を実施し、肺やリンパ節などへの浸潤(転移)所見の有無も同時に確認しております。

また悪性の乳腺腫瘍のなかでは外科手術が推奨されない種類もあり、それを炎症性乳癌といい、これは悪性度が高く治療に対しても抵抗性が高いため、基本的には外科手術は禁忌とされています。症状として複数の乳腺とその皮膚に急速に広がり、熱感、疼痛、発赤、腫脹、浮腫がみられます。この乳腺腫瘍は前述したように、早期の避妊手術によりその発生を抑制できる腫瘍です、発生の多い乳腺腫瘍を是非予防してください。

④会陰ヘルニア(原因/検査・診断/治療)

会陰とは肛門と泌尿生殖器の出口周辺の部分を言いますが、この会陰部の筋肉が萎縮を起こし、隙間ができ、そこから膀胱、腸管、大網、腹腔内脂肪などがとびだしてヘルニアが形成される事があります。これを会陰ヘルニアと言います。

劣性遺伝やホルモンの関与が原因に挙げられていますがいまだに不明な部分は多い疾患です。発症は中年以降のオスが圧倒的に多く男性ホルモン(アンドロゲン)が関与している点は確かなようです。症状としてはきばってもきばっても便が少量しか出ず、排便時に痛がる。肛門の片側、あるいは両側が腫れている。膀胱が脱出している場合には尿が出にくい(出ない)といったものになります。



当院では会陰ヘルニアの診断としてもCT検査を行っております。CT検査を行うことで、ヘルニアの正確な大きさや周辺組織の状況、さらにはヘルニア内に入り込んでいる臓器などの確認も行えます。以下に手術についての説明させて頂いておりますが、CT検査を行っておくことで、どのような手術方法を採用するべきかの判断も迅速に行えます。

基本的に外科的治療を行います。会陰ヘルニアの整復法には様々な方法が開発されています。様々な手術様式が開発されているという事を言い換えれば、それぞれの術式に一長一短があり、コレという決定的なスタンダードな手術様式が決まっていない事を意味します。
また、統計学的には再発率の高い手術に分類されます。大きく分けて術式は2つあり、人工物利用術と生体膜利用術です。また歪んで下垂してしまった腸を引っ張り上げる手術(結腸牽引固定)は多くの例で併用しなければなりません。さらに去勢していないオスの場合、去勢手術は必須になります。

当院では人工物インプラントによるヘルニア整復がメインですが(ポリプロピレンメッシュ素材を整復する個体ごとに整形加工して適用)、生体膜、筋転移術によるヘルニア整復も行っております。どのような術式を用いるのかは、術前の会陰ヘルニアの状況評価、動物の品種、年齢、基礎疾患、手術までの経過などなど、さまざまな要因を考慮しながら決定していきます。去勢手術後の総鞘膜を生体材料として使う場合は理論上異物反応は起きませんが、手術時間自体が長くなる傾向にあるため、長時間の手術時間が難しい場合は、人工物インプラントを採用することもあります(以下写真はポリポロピレンメッシュを採用)。